CMCにかける思い

今年生まれた孫は、2050年に26歳、2100年の22世紀には76歳となる。3年前に会員企業9社がセラミックスRoadmap 2050を作成したが、子供(孫)に教えられると良く言われるが、時間のスピードは想像以上に速い。世界が競争相手になった時代では、もうオチオチ出来ない。

50年前に東北大・矢島研に世界の企業から30名を超える研究者が集まった高強度セラミックス繊維研究で成功したのは日本の2社だけであった。今日、日本のSiC繊維を使ったCMCが世界の空を飛び始めている。それはLEAPエンジンであり、来年から日本の空を飛ぶANAのGX9エンジンである。GE社は既に次のRISEエンジンの研究開発に着手している。

CMCは金属よりも耐熱性に優れ、セラミックの弱点であった過酷な環境下でも高い耐久性を発揮し、かつ金属に比べ1/3の重量である。現在、CMC市場を牽引しているのは、航空宇宙や自動車産業からの需要増、製造技術の進歩、軽量で高性能な素材ニーズの高まりである。今後は、CMCの高い製造コスト、複雑な製造工程など、グローバルレベルでより先進的なCMC材料の開発、業界企業間の提携や新しい用途開発が必須である。世界に先駆けてSiC繊維を開発した日本、競争優位を続けるには研究開発の強化と戦略的提携が求められる。

CMCに関するイメージ
矢野友三郎